書画を扱う仕事を始めるまでは、全然掛軸などにも興味がなかったというか、接点すらありませんでした。
それが歴史に興味があり、ひょんなことから始めた古物の仕事で、「ん?これ自分好きかも?」という感じで書画にどんどん惹かれていきました。
何というか、書画はもちろん技術的なこともあるでしょうが、それ以上に魂や精神みたいな奥深い何かを感じるんですよね。
そこが惹かれる一番の要因かもしれません。
歴史上の偉人の書に出逢うのもなかなか楽しいものです。
顔真卿や西郷隆盛のような厳しい時代背景からくる鬼気迫る書も良いですが、個人的にはちょっと物静かで精神性や哲学を感じるようなものが好きです。
書画にも、それぞれの独特な空気感があるように感じます。
↑上記は、中村不折という方の筆で、庵が描かれている典型的な山水画です。
昔の文人と呼ばれる人たちは、騒がしい世間から遠ざかり、山奥の庵でのんびり詩作に耽ったり、絵を描いて過ごしていたようです。
実際にはどんな暮らしをしていたかは知る由もありませんが。
忙しい現代を生きているからでしょうか、そういう人たちの生き方に自分はなぜか惹かれます。
いずれにしても、時代の空気感が沁みた書画を眺めるのは仕事とは言え楽しいものです。
現代は忙しく、書画を楽しむゆとりがなかったり、そもそも床の間がない家が多くなったため、書画の扱う身としては厳しい面もありますが、少しでも後世に残るような仕事が出来たらな~と思いますし、また面白い書画に出逢えたらな~とも思います。